赤甲羅な雑記

アニメ・マンガとかの記事を書く量産型無個性ブログです

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虐殺器官を再読した話でクラヴィスと伊藤計劃氏は似てるなと思ったこと

BD&DVD発売決定だそうですね。映画ぶっちゃけ最高だったんで早いところ発売してほしいものです。

 

そんなわけで3回くらい読み返した気がするんですが、内容がやっとのことわかりかけてきました。正直言って最初読んだときとかなんじゃこのオチはー!とか思ってたりもしたんですが、映画も見て読み返しもして内容がやっとこさ嚙み砕けてきたといったところです。自分の読解力がなさに死にたくなりますね。

それで再読して一番思ったことなんですが、クラヴィス・シェパードというやつはなんと不謹慎なやつなんだ、ということです。本書は読んだことのある人ならわかると思うんですが、これは主人公であるクラヴィス・シェパードの一人称で進むお話です。だいたいはモノローグです。モノローグなんですが、こいつときたら周りは真剣に特殊任務に取り組んでいるのに僕のお母さんがどうのこうのだのっていつも感傷に浸っているし(まあ彼にとっては任務はゲーム感覚だったしうーん)、スパイとして潜入してる時は考えなくてもいいルツィアの裏事情を心中で垂れ流し取るし(ファムファタールだししゃーない気もする)、挙句の果てには割と危機的状況でなのに同僚の肩が吹っ飛んでいるのにちょっと面白いwwwとかのたまっています(これもゲーム感覚だったから?)。正直言ってなんだこいつ…って感じです。テイルズ風に言うなら理解できん…こやつ消えよ!って感じかもしれません。ネットではマザコンとはよく言われていますが、正直もっとおぞましいなんかなんじゃなかろうかって思ったのが僕の思うところです。

しかしながら伊藤計劃氏の性格を考えると彼というキャラもあながち不思議ではないような気もしました。評論集とかあんまし見ていないのでそこまで確証を持って言えるわけではないのですが、彼は真面目でありながらもかなり人を食った人物というのをよく目にします。実際、その手のエピソードには割と事欠かなく、死者の帝国で自分がマジで死にそうなのに「僕はそろそろ死にそうだけど次に書く話は死人が動く話なんだHAHAHA」とか言ってる時点でどういう人物かは割とお察しです(なんかのインタで円城氏も計劃さんは変わった人とか言ってた気がする)。虐殺器官でもジョンポールに好きとか嫌いとか~でときメモネタをあんなシーンにブッこんできたり、その他のパロディの仕方をみてもかなり人をおちょくったようなやり方だったりします。

そうみるとクラヴィスシェパードというのはある種、計劃自身を投影した姿だったのかなと思います。徹底的にシリアスを突き詰めながらもどこか喜劇的でシュールでないと気が済まないという性格、とでも言えばいいのでしょうか。おそらくですが徹底的過ぎるが故の反動みたいなもんな気がします。そもそもにしたって今では夭折の作家と持てはやされている伊藤氏だって元々は一介のMGSオタクでしかないし、クラヴィスも特殊部隊の隊員っても私生活は友達と家でピザ食ってビール飲んでるだけですし両者のボンクラ度合いにも大した違いがなかったりもします。

伊藤氏がボンクラとしてクラヴィスをデザインしてるのは自分に似たキャラクターだからなのかもしれんなあ…と思うと自分としてはクラヴィスを理解できたり理解できなかったり。クラヴィスは大噓つきとも言っているのでもしかしたら伊藤氏も大変な嘘つきなのかもしれません。

 

それはそうと虐殺器官のエピローグの嘘なんですが、映画版ってこれのアンサーとかなんじゃないでしょうか。「実はクラヴィスが延々と考えてた死者の国とかは全部嘘でした」みたいな、それであの辺の描写がまるっとカットされてるとか。アンサーの仕方としてはちょっと無茶があるかもしれませんが映画としてはまとまりがいいし、これってなかなか良い考えなんじゃないでしょーか???。んなわけねーだろバーカ文盲乙って言われるかもしれませんがこう考えてると中々楽しいので僕としてはこの線を推していきたいと思います。どうせ藪の中だし信じたものが正解です。人は見たいものしか見ないのです。それで平和が保たれるのです。

 

そんなわけでおわり。あととりあえず色々と本読まなきゃなあとは思いました丸。フーコーとかチョムスキー読んだ方がいいのかな…言語のアレコレ気になるし。でもああいう本ってたけえんだよなあ…うーん悩ましい。図書館とか使うか。