赤甲羅な雑記

アニメ・マンガとかの記事を書く量産型無個性ブログです

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真田丸最終回が最高だった件

真田丸最終回「そんなことは百も承知ィ!」

スクライド最終回「んなこたぁ先刻承知よぉ!」

 

というわけで真田丸最終回、実質スクライド最終回でした。いや全然違いますね。といっても両者とも戦うことしか能がなくそれでいて自身の愚かさを自覚しており、またそれを指摘されても「これこそが自分だ、どこに恥じることがある」と言わんばかりにと己を鼓舞し圧倒的な強敵に立ち向かっていくという愚直なヒーロー像は共通してるのでしょう。勝敗、貴賤、メディア、年期は別としてもどちらもまごうことなきヒーローであることは疑いようもないと思います。

 

日本一の兵と謳われた真田幸村、華々しい名誉をもらいつつもその生涯は一言で言い表すなら「地味」の一言が最もふさわしいと思います。監督である三谷幸喜氏も相当に頭を悩ませていたようですが、彼は本当に表舞台に出てきません。実父の真田昌幸は智将、家康をして表裏比況の者と言われるほどの名将(迷将?)であり数々の戦いでその知略と思い切りを存分に生かして本能寺後の激動の戦国時代を生き残った武将、兄の信之は上田合戦の際に徳川の大軍を相手取り、その猛攻を凌ぎ切ったことから徳川きっての名将の戦国最強とも言われた本多忠勝にその武勇を認められた武将です。両雄とも功績がはっきりとしており、現役時代では多くの活躍をしていました。しかし源次郎様ときたら滝川氏に人質になったり上杉氏に人質になったり豊臣に人質になったりで…人質にしかなってねえぞオイ!この後も第二次上田合戦でちょっかい掛けたくらいでその後に九度山送られてるしなんだこの経歴…マジで何にもしてねえんじゃねえかってレベル。まあ次男坊でしたし表立って活躍するのは長男の務めでもあるからしかたない面もあるのでしょうが今思うと壮絶っていうかめっちゃしょうもない経歴ですね…。これを生涯を通してだいたい40話分にしてさらにドラマチックに描くんだから三谷幸喜監督がハードルが高かったと言っていたのも頷けます。

しかしながら彼の人生最初で最後の大舞台である大坂の陣、元来持て余した彼の武将としての器量が余すところなく遺憾なく発揮される舞台です。日々を暮らすお金にも困る九度山での生活を分相応と言ってたあの頃の源次郎様は一体なんだったんだのか…。というか今思うと全てが彼に必要であったことのようにも思えてちょっと感慨深いです。

思い返してみると信繁は様々な人物から特別な情を向けられていたようにも思います。作中で度々期待を寄せる昌幸、きり、佐助はもちろんのことですが上杉謙信や茶々、もちろん秀吉などもですね。ちょっと結果論的かもしれませんがどの人物も彼の持つ人間として武士としてのカリスマをきちんと見抜いていたことが伺えてくると思います。(まあぶっちゃけると脚色されたための約束された主人公補正なんですがそこはご愛敬ということで。)

しかしながらこの脚色が本当にすごいのはキチンと意味を持っていることにある真田幸村がどういう人物だったのかという一つのアンサーとしての側面があることのように感じられます。次男故に若いときはパッとしないといより活躍の場がなかったが持ち前の人を惹きつけるような才覚があった。これは彼が隠し持つ野心やアツさがにじみ出た故の産物であり、それが最後になって爆発し大坂の陣への参戦となった…そんな風に僕は思います。それと、もちろんこのことに一番早く察知していた…というより信じていたのはきりであると思います。彼女も夢見がちな乙女でありつつもリアリストとしての側面を持つ素晴らしいキャラクターでした。この相反する属性を持つきりを演じきった長澤まさみは実に素晴らしい女優ですね…。ちょっと脱線しましたがきりはおそらく恋をしていたからこそ彼の芯を正確に見抜いてそれをずっと信じていたのだと思います。しかし彼女はどうしようもなくリアリストだった。故にこれは悲劇ではありましたが最後には報われた。なにもかも遅すぎたけれども長い時をかけお互いが持っていたしがらみから解放されたあのシーンは本当に感動的でした…。49話かけたカタルシスとかヤバいですよ…。思わず淫夢くんガッツポしちゃいましたよ…。

それでええとなんでしたっけ…そうそう信繁のことですね。ぼくも乙女だから恋の話にはどうも熱が入ってしまって申し訳ないですねいい年こいたおっさんに差し掛かってるというのに…。

それで信繁ですがこの大阪の陣やきりとの恋愛で見えてくるのは野心や志を持ちつつも彼は遅すぎたヒーロー、もしくは遅すぎたための悲劇のヒーローというのが彼の持つパーソナリティなんじゃないかと思いました。中盤からなんとなく明示されてはいたようにも思えますが終盤になってそれがより顕著に示されましたね。ラストでは自刃の間際に佐助に年齢を聞いて全身が痛いと答えていましたが、アレは期待をかけてもらっていたのに応えるのが遅くなってしまったことに対しての信繁の謝罪、またそれに対する佐助の本音でもあるようにも感じられました。三谷幸喜によくあるのギャグテイストで喜劇調なシーンにも見えますがその根底にあるお互いの認識の相違がこの上なくシリアスに物語を彩っているシーンでもあります。

またラストを占める家紋でもある真田六文銭、一般には三途の川の渡し賃ですが、その真の意味は不惜身命。直訳するなら身命を惜しむな。家族のため友のため愛する者のために自分に殉じて死んでいった彼にはこれ以上なく相応しい言葉だと思います。また六文銭そのものが持つ真田の家から家を託されたという意味合い(ラストの信之が行くかと自分に言い聞かせるように言っているのも印象的)、三途の川の渡し賃でもあることから源次郎の死を暗示するなどまさにこれ以上なくラストを締めくくるに相応しいキーアイテムでした。これだけの条件がそろっていれば最後にそれを見つめた信繁と信之の心情も語るに及ばず推して知るべしというのがラストですね。

 

真田丸、本当に最高でした。大河を見るのは龍馬伝以来でさらに戦国なんて最初大坂の陣?なにそれおいしいの?みたいなやつだったんですが、本当に最高としか言いようがなかったぐらい面白かった。語彙が足りてないですがスタッフキャスト一同には感謝の言葉しかありません。次回作あったら楽しみに待っております。

 

最後にちょっとこれ書いてる時に聞いてたBGMで

www.nicovideo.jp

やっぱスクライドで始めたしスクライドで占めたいよね。曲もなかなか合ってるし。