赤甲羅な雑記

アニメ・マンガとかの記事を書く量産型無個性ブログです

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ダンガンロンパV3がとても面白かったのでプレイ感想

「文学は現実を模倣するべきである」とか昔の偉いおっさんが言っていたそうですね。

ネタバレ含みますので読みたくない人や未プレイの方は読まないほうが良いです。ついでに1週目なので真ルートのこと言ってるかどうかも知らないですし追加要素もろくすっぽやってないです。

いくつか気になった書きたいなと思った項目に分けて書きます。雑ですがどうぞ。

 

 

 

・とりあえず感想

感想書く前に何ですが今作のテーマ性から言ってもあまりとやかくとアレコレ言う様なゲーム及びシナリオではないというのが率直な感想でした。自分の少ない引き出しの中で最も本作に近い作品を上げるとなると名作映画の「トゥルーマン・ショー」やそのオマージュ元であるディックの「時は流れて」あたりでしょうか。マトリックスなどももちろんありますがデザインされた人生という点を踏まえるとこの2作がふさわしいのではないのでしょうか。

フィクション世界からの脱却というのは昔からそれなりにテーマや演出として取り扱われていますが(第四の壁)、昨今のコンテンツビジネス隆盛とそのコンテンツ自体を真っ向から否定する性質からか最近はとんと姿を見ない気もします。いやだからこそ人気コンテンツであるダンガンロンパでよくぞやってくれたという気持ちもあるのですが、それも僕らの平和な世界で好き放題言っている歪んだ視聴者のいち意見でしか無いのでしょうね。一通りやってみた後から「この手のプレイヤーとか受け手の鏡を見せつける作品ってだいたい日本だと評判悪いんだよな旧エヴァとかモロだったし」とか思いながらアマゾンレビュー見てったらまー評判悪いことでだいたい予想したとおりって感じでした。まあこういう一石を投じる作品って基本的に人を選びますし当然で残当って感じではあるんですけどね。SO3とかもだいぶ評判悪かったし1と2とぶち壊しするあたりに共通点を感じる人もいるみたいですね。正直全然違う気がしなくもないのですが。

 

・偽証システムについて

終わってみると本作から搭載されたノンストップ議論における偽証システムはこのゲームを体現したようなシステムでしたね。嘘を持って真実を暴く、嘘を現実にしてしまう、フィクションを現実にするというのは本作の結末やテーマにも通じており、つまるところ僕らは初めから嘘つまりフィクションを作りそれを現実にするという作業を繰り返しやらされていたわけですね。この辺にやはりシナリオの小高氏の妙がありますね。扱いづらいテーマでありながらもそれをゲームシステムに組み込むことによってそれを身近にかつ初めから意識させる。賛否両論あるシナリオですが脚本の技量や演出には確かなものを感じさせるクオリティだと思います。

 

・事件のトリックについて

まあ概ね満足でした。滅茶苦茶なトリックはダンガンロンパらしさといえばそれまでですのでとやかくは言えませんが、どの議論も先が読めない展開かつクロが次第に絞り込まれていく快感を味わえるのはダンガンロンパらしいというよりミステリーを取り扱うゲームとしては優等生で非常に面白かったです。従来作で培ってきたモノをよく活かしていると思います。

 

・ゲームシステムについて

ブレインドライブがゴミみたいにダルいのでキューブ取得増加スキルは必須でした。

ノンストップ議論は視覚的な言葉の表現がすごくよく出来ており、従来作と同じものとは思えないほど進化しています。嘘コード化によるウソダマの偽証システムの導入も相まって本作を代表するゲームシステムとしては正統進化しているなと印象を受けました。メイン看板だけあってシステムとしての面白さは本作随一だと思います。

あとは議論スクラムでしょうか。難易度自体は簡単ではありましたが集団議論を組み立てるという本作初のシステムで中々に力の入ったシステムでした。どうみてもグレンラガンなアレにはいつも笑っていましたが。

あと音ゲーをいきなりやらせるのはクソゲーだってねはっきりわかんだね。ソースはDODの2作。それはそうとニーアオートマタが待ち遠しいな…。今回みたいなロッカー案件にならないといいんだけど…。

 

・結末について

希望でも絶望でもない終わりでしたね。俺の知ってるダンガンロンパじゃない…って思ったプレイヤーは数知れないことでしょう。まあそれも含めてゲーム内で演出をされているわけなので、改めて言う必要もないのですが。

ダンガンロンパ世界における第四の壁の破壊、といった所でしょうか。ラストでキーボが壁を破壊した演出もそれを意図していたんじゃないかと思います。また先ほど貼ったwikipediaからの引用になりますが、

第四の壁はフィクションと観客の間にある。通常、観客は第四の壁の存在を意識することなく受け入れており、あたかも現実の出来事を観察しているかのように劇を楽しんでいる。

という記述があるようにこの壁をぶち壊すことが本作のやりたかったことだったんじゃないでしょうか。また嘘を持ってぶち壊すという要素、作中でのコロシアイがダンガンロンパの名を冠する、という意匠も相まってダンガンロンパらしく第四の壁をぶっ壊すというのが非常によく感じられました。発売直後の小高氏のツイッターにもあったダンガンロンパでしかできないストーリーというのはこういう点にあったのでしょう。やはり氏の手腕は素晴らしいですね。

 

・エンディングについて

多分大体の人が誤解していると思うんですけど、多分実際のプレイヤー自体はあそこでスタッフロールを見ている観客なんですよね。コロシアイを見ている人たちが作中でプレイヤーそのものであると錯覚しそうになりますから仕方ないんですけど、でもアレは現実の僕らを模倣した存在であって僕ら自身じゃありません。ぶっちゃけコロシアイなんて僕らのいる現実世界にはないですし、彼らは明らかに僕らと同質の存在ではあれど、ぼくらではありません。

たぶんこのエンディングの目的は完膚なきまでに破壊した第四の壁の修復という意味合いがあるんじゃないでしょうか。わざわざスタッフロールを流すのが劇場というあたり、「これはフィクションですよ」って言ってるようなもんだと思います。新たな線引を行っているというわけですね。

しかしながら僕らは一時的ながらも嘘と現実の境界が曖昧になりました。これはもう一度嘘と現実がはっきり線引されたとしても、中々に感慨深い物があるのではないのでしょうか。現実を侵食するフィクションの気持ち悪さ、それこそが嘘を以てして真実の向こう側に辿り着いたダンガンロンパV3の面白さなのだと思います。

 

・壁を破壊した後と本作のテーマについて

壁をぶっ壊した後に残るものとはなんだったのでしょうか。エンディング後のタイトルから強制的に飛ばされるエピローグは、作中におけるゲームでない部分つまりフィクションでない彼らの一幕を意味していると思われます。まあ嘘が真実になった姿とでもいうのでしょうか。より正確に言うなれば作中で言われていたように嘘は真実が変化した姿でしかないということでもあります。

これを受けるとやはり本作が提示したかったテーマは「嘘の真実性」じゃないでしょうか。ノンストップ議論の偽証システムでは議論における嘘の真実性、ゲームシナリオではフィクションが現実を変えるという嘘の真実性でシステムとテーマが非常に噛み合っており、ゲーム全体に深みを持たせていますね。

 

・総評

まーいいゲームでした。賛否両論で「こいつらゲームが終わっても議論してんな」みたいな感じのゲームでしたが今までにないゲーム体験ができました。実際シナリオを読んでいて「は?」ってなるゲームは中々お目にかからないんですよね。そういう意味では近年では非常に珍しいゲームでした。しかもこれでシステムがよく出来ていて良ゲーなんだからもう言うことないですよね。正直1と2と絶女やったけどこれが一番ハマりました。ありがとうチームダンガンロンパ、ありがとうスパイク・チュンソフト…。次回作も期待しています。